藤村医院BLOG

2011.09.30更新

Lucas氏らは,Nurses' Health Studyのうち,1996年に抑うつ症状がなかった5万739人(平均年齢63歳)を2006年まで追跡した。2年ごとに行われた郵送調査のうち,1980~2004年の回答からコーヒーの平均累積摂取量を求め,うつについては2000~06年に臨床的診断,抗うつ薬の定期的な使用について尋ねた。コーヒーへの曝露から2年以上経た期間におけるうつの発症との関連を調べた。

10年間の追跡期間中,2,607例のうつが発生した。コーヒーの摂取を週1杯以下,週2~6杯,1日1杯,1日2~3杯,1日4杯以上に分けると,コーヒーの摂取頻度が高いグループほど,喫煙率が高く,アルコール摂取が多く,教会や地域グループへの参加が少なく,肥満や高血圧,糖尿病が少なかった。

年齢,エネルギー摂取量,閉経状況,喫煙状況,BMI,身体活動,教会や地域グループへの参加の有無,婚姻状況,基礎疾患,1996年のメンタルヘルスインデックススコアなどの交絡因子を調整後,1週間に1杯以下と比較した場合のうつ発生の多変量相対リスクは,1日2~3杯で0.85(95%CI0.75~0.95),1日4杯以上で0.80(同0.64~0.99)と低下した(傾向性のP値<0.001)。週に2~6杯,1日1杯では有意差はなかった。

1日のカフェイン消費量を5つのグループ(100mg未満,100~249mg,250~399mg, 400~549mg,550mg以上)に分けて検討したところ,最大(550mg/日以上)を最小(100mg/日未満)と比べた多変量相対リスクは0.80(同0.68~0.95)であった(傾向性のP値=0.02)。

なお,カフェインフリーコーヒーとうつの間には関連がなかった。

同氏らは,睡眠の妨げを恐れる女性がカフェインを避けるなどうつになりやすい状態でコーヒーの摂取が低下している可能性を指摘しつつも,今回の結果はコーヒー摂取が自殺率の低下に関連するといった先行研究の報告に一致すると結論。カフェイン入りコーヒーの摂取がうつの予防や治療に有用かどうかさらなる研究が必要としている。

(木下 愛美)


投稿者: 藤村医院

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