歯科NEWS

2011.05.14更新

東日本大震災の被災地で遭難遺体の身元確認の決め手となる歯科的データ作成のため、岩手県に派遣されていた香川県歯科医師会の歯科医4人が活動を終え、11日に香川に戻った。作成したデータが遺体の特定につながるケースもあり、歯科医らは「貢献でき、参加してよかった」と振り返った。

4人は、開業医の山下喜世弘さんと樋出誠さん、香川大医学部口腔(こうくう)外科の歯科医、大林由美子さんと南佑子さん。いずれも志願で活動に参加した。

現地では2班に分かれ、それぞれ法歯学の専門家を加えた3人のチームで宮古市、釜石市、大船渡市、陸前高田市の各遺体安置所で8~10日の3日間にわたって計23遺体の歯科的データづくりに取り組んだ。

作業では遺体の口の中を洗浄し、写真撮影、歯の治療痕や義歯の特徴、舌や歯茎の状態を記録し、必要に応じてレントゲン写真も撮影するなどしてデータ化していった。

樋出さんと南さんのチームは、盛岡市内に宿泊し毎日片道約2時間半かけて遺体安置所に通った。大船渡市で8日に作成したデータの一部は翌9日、生前の歯科データと合致し、遺体の身元の特定につながったという。

一方で、樋出さんらは被災現場の惨状を「まるで別世界」と振り返り、活動を通じて「予想される大災害への対応に向け、組織づくりや人材の育成、広域での情報共有の必要を感じた」と話した。


投稿者: 藤村医院

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