男性受刑者の歯の治療を1年以上放置したのは人権侵害として、県弁護士会は、福島刑務所(福島市南沢又)に改善を求める勧告書を4日送付したことを明らかにした。弁護士会の勧告と警告は今年度だけで4回目。
弁護士会によると、受刑者は08年10月、「奥歯のかぶせものが取れたので治してほしい」と刑務所側に申し出た。この後、これ以外にも歯の痛みや歯茎の腫れを計3回訴えたが、治療待ちが200人いて治してもらえなかったという。
受刑者は09年6月、同弁護士会に人権救済を申し出た。初診となった同11月には虫歯が6本あり、うち1本は神経に達していた。高橋金一会長は「全国的にも刑務所の歯の治療は遅れがち。治療の順番や開始時期の告知、緊急診療の基準が必要だ」と話した。
同刑務所の木内久雄総務部長は「勧告書が届いていないのでコメントできない。今年から歯科診療の日数を増やした」と話した。